「天井板落下防止対策先導モデル/第二次委託6者選定/文科省」が建設通信新聞に掲載されました
文部科学省が、国公立学校の屋内運動場・武道場・講堂・屋内プールの天井など「非構造部材落下防止対策加速化のための先導的開発事業モデル実証」の第二次公募で、福岡県大任町、国立大学法人の弘前大学、宮城教育大学、大阪教育大学、福井大学、香川大学の6者を委託予定先として選定したことが、20日までに分かった。実証の成果は、文科省が広く全国に情報発信し、全国の自治体が2015年度までに終えることが求められている対策工事の参考にしてもらう。対策が必要な施設は全国に8700棟程度あり、対策工事は地域の設計事務所や建設企業が手掛ける事業となる。
モデル実証は、▽「天井等落下防止対策アドバイザー」も含めた実施体制を構築し、天井調査、対策検討、設計・積算、工期短縮手法開発を伴う工事まで実施する「モデル実証1」▽工事段階を除いた「モデル実証2」ーーの2つ。児童生徒の安全確保や応急避難場所機能、地震後の教育活動早期回復など学校施設の特性と、架構種別や屋根構面の形態、天井形状など施設そのものの特性を踏まえ、課題と対応策を整理する。これに加え実証1では、点検から設計、工事を通じて多くの工種にわたる対策手法の工期短縮法を開発する。
香川大学が実証2、大任町と他の4大学は実証1を実施する。大任町は小学校2校、中学校1校の点検・調査を行い、対策の優先度が高い1校を選んで対策工事を実施する計画。各大学は、付属小中学校の屋内運動場や武道場を対象に実証する。
委託事業のため、経費は全額を補助する。1件当たりの委託費は実証1が約1800万円、実証2が約400万円。6者とは近く委託契約を結ぶ。委託期間は14年3月7日まで。実証1の工事費は、既設つり天井撤去、断熱・吸音を含む天井機能代替措置、照明器具の撤去・再設置、取り合い部補修が対象となる。
文科省は第一次公募で6自治体を選定済み。実証1を茨城県日立市と岡山県早島町、熊本県阿蘇市、実証2を千葉県浦安市と新潟県、山口県が手がけている。今回の選定と合わせ計12件で実証する。
早急な対策が求められている屋内運動場・武道場・講堂・屋内プールで吊り天井がある公立学校施設は、4月1日時点で小中学校が6554棟、高校が1913棟、特別支援学校が223棟ある。
文科省は、これら施設の点検を13年度末までに完了させ、落下防止対策工事を15年度までに終えることを自治体に求めている。一部の自治体は13年度に対策工事を手掛けるものの、多くの自治体はモデル実証の結果を踏まえて、14、15年度に対策工事を進めるとみられる。
(2013年9月24日 : 建設通信新聞)