「小中学校非構造部材/耐震点検実施は3分の2/文科省、落下防止対策近く要請」が建設通信新聞に掲載されました
小中学校非構造部材⁄耐震点検実施は3分の2⁄文科省、落下防止対策近く要請
文部科学省は4日、公立学校施設の非構造部材耐震点検と耐震対策の状況調査結果をまとめた。宮城、福島両県の一部を除く施設が対象で、天井材や照明器具、窓ガラスなど7項目の点検実施率は、4月1日現在で小中学校が前年度比0.7ポイント増の66.0%、高校が2.3ポイント増の79.6%、特別支援学校が1.2ポイント増の81.6%、幼稚園が4.2ポイント増の62.0%だった。小中学校の点検実施校のうち非構造部材耐震対策実施済率は、3.1ポイント増の48.5%、全学校における実施率で見ると2.3ポイント増の32.0%にとどまる。文科省では、自治体に対し点検と対策の早期実施を促すとともに、2013年度予算の概算要求に必要な予算を盛り込む。
屋内運動場・武道場の天井材やバスケットゴール、外壁材などは、特に致命的な事故が起こりやすいことから、有識者会議がまとめた中間報告を踏まえ、緊急措置として耐震補強の有無を調べる総点検の実施と落下防止対策の実施を近く自治体に要請する。
非構造部材の耐震点検と耐震対策の取り組み状況をまとめたのは、今回が2回目。自治体による屋内運動場・武道場の部材ごとの点検実施率の調査は今回が初めてで、実施率は天井材33.3%、照明器具34.0%、外壁(外壁材)35.0%、バスケットゴール34.0%だった。
自治体ごとの点検・対策状況は今回から公表。公立小中学校で耐震点検の実施率が100%だったのは、全体の61.1%に当たる1090自治体。耐震対策実施率100%は、487自治体で全体の27.3%だった。例えば、静岡県内の自治体はすべて点検実施率が100%だったものの、県内の全学校に対する対策実施率は26.9%にとどまり、全国平均の32.0%を下回っている。
小中学校の点検率が全国平均の66.0%を上回っているのは、静岡県のほか、広島県の91.7%、新潟県の86.7%など21県。耐震対策実施率では、福井県の62.2%が最も高く、神奈川県が58.7%、岩手県が54.9%など、23道県が全国平均を上回った。
小中学校以外の点検実施校・園のうち非構造部材の耐震対策実施率は、高校が8.7ポイント増の49.4%、特支校が0.9ポイント増の53.0%、幼稚園が5.6ポイント増の44.0%。全学校・園に対する対策実施率は、高校が7.9ポイント増の39.4%、特支校が1.3ポイント増の43.2%、幼稚園が5.1ポイント増の27.3%だった。
学校は、学校保健安全法に基づき教職員による安全点検が毎学期1回以上、自治体による建築物の専門的知識が必要な項目の点検は、建築基準法に基づき3年以内ごとの実施が求められている。しかし、全小中学校3万0395校のうち、点検未実施は34.0%の1万0326校に上る。
自体による点検が完了していない1352自治体の理由を調べたところ、27.7%が点検費用の確保が困難、25.7%が職員の業務量的に困難、22.3%がほかの整備と併せて実施予定としていた。対策未完了の理由としては、構造体の耐震化を優先、ほかの整備と併せて実施予定、工事費用の確保が困難などを挙げていた。