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「建築学会特別調査委/天井の安全性評価確立/12年内にも指針人命保護最優先に対策」が建設通信新聞に掲載されました
建築学会特別調査委⁄天井の安全性評価確立⁄12年内にも指針人命保護最優先に対策
日本建築学会の特別調査委員会は、天井など非構造材の安全性評価と落下事故防止に向けた中間報告をまとめた。地震が起きていないときでも天井落下事故が頻発していることを踏まえ、地震力ではなく重力を落下事故の直接的な力と認識し、「落下現象の制御」を第一に考えるべきとした。その上で「人命保護」「機能維持」という2つの基本概念に分けて、安全評価法の確立や「準構造」の概念の導入などに取り組む。同委員会は2012年内をめどにガイドラインをまとめる。
人命保護に向けた方法として、同委員会は安全性評価法の確立を挙げた。安全性評価は、天井の高さと材質で落下時の危険性を客観的に判断するもので、試験を実施するなど委員会で検討を進めている。
準構造の概念は、音楽ホールなどの重量のある天井を、仕上げ材ではなく構造材として設計・施工するもの。天井に要求される機能を構造材によって実現する。建設プロセスの初期段階で天井をつくることで、躯体と同様の安全性を確保する。
8日に開いた会見で、特別委員会委員長を務める川口健一東大生産技術研究所教授は、策定作業を進めているガイドラインについて「さまざまな工法や材料をどのように組み合わせれば、どういう性能になるかを示したい」と、早期にまとめる考えを示した。
このほかの課題として、天井の使用材料や設置場所を決める設計者の意識の啓発、防火関連規定の高さ方向の緩和、発注者と設計・施工者の合意形成を挙げた。
(2012年8月9日:建設通信新聞)