「高耐震天井開発進む/吊りボルト圧縮補強材とX型ブレース組み合わせ/日建設計」が日刊建設工業新聞に掲載されました
高耐震天井開発進む⁄吊りボルト圧縮補強材とX型ブレース組み合わせ⁄日建設計
日建設計(岡本慶一社長)は、高耐震天井の開発に取り組んでいる。吊りボルト圧縮補強材と耐震ブレースで構成する天井の高耐震化システムで、左右の補強材に対してブレースをX型に配置し中央を固定、ブレースの各交点は偏心を避け、強度を確保する仕組み。在来天井工法から最新のグリッドシステム天井まで幅広い天井設計に採用できる。既に特許を出願しており、今年末にも開発を完了させる予定だ。
東日本大震災では、長時間継続する地震動や繰り返しの余震に耐えられなかった天井が大規模または部分的に崩壊した。不足していた天井下地材の強度補強やジョイント部の耐震性向上などが課題として残った。
こうした教訓を受け同社では、新たな高耐震天井の開発に着手。20日に東京都内で開いた「NSRI都市・環境フォーラム2012」で開発中の新システムを披露した。
従来の天井ブレースは、大地震時に吊りボルトが座屈し、天井面が上下に揺すられて全体崩壊に至る可能性があった。そこで、吊りボルト圧縮補強材とX型耐震ブレースの組み合わせによって、座屈や天井面の揺れを抑える仕組みとした。
上部金物は天井面から吊りボルト圧縮補強材を使って設置。一方、下部金物は吊りボルト圧縮補強材とブレース、天井下地材を一体化する。取り付けが簡単で、既存天井の耐震補強工事にも利用できる。建物によっては、単位面積当たりの耐震ブレースの数を削減できるという。
同社が実施した実験結果によると、弾性範囲が5000ニュートン程度まであることを確認し、間仕切り総重量込みで2.0G相当の水平荷重に耐えた。
同社は引き続き製品化に向け開発を進めるとともに、建物の特性に合わせた総合的な耐震クライテリア(基準)に対応する技術の研究・開発に力を注いでいく。
(2012年7月23日:日刊建設工業新聞)