「天井落下のメカニズム究明/鹿島/3D振動台で防止策検証」が建設通信新聞に掲載されました
天井落下のメカニズム究明
鹿島 3D振動台で防止策検証
耐震改定指針の効果証明
鹿島は、東日本大震災での天井落下被害を高性能3次元大型振動台「W-DECKER(ダブルデッカー)」による実験で再現して落下のメカニズムを究明するとともに、その防止対策の効果を検証し、天井の耐震性に関する社内指針を改定した。改定にあわせて、東京都調布市の同社技術研究所西調布実験場で公開実験を行い、社内指針に基づく対策が効果的に働くことを証明した。
東日本大震災では、外壁、天井、間仕切壁といった非構造部材による被害、特に天井落下の被害が多発した。このため、同社は2011年6月に全社横断の「非構造部材耐震対策検討チーム」を立ち上げ、今回の地震で発生した天井落下メカニズムの究明、対策技術の検証を目的に3次元大型振動台で加速実験を繰り返し、その結果に基づき、社内指針を改定した。
実験の結果、天井落下は、天井の段差部やつり長さに異なる部分が弱点となって発生しており、天井が大きく振幅することで壁も崩壊したほか、設備機器もボルトがつり元で破断して落下し、天井を壊した。このため、耐震対策として、天井内の4隅をブレースで補強し、段差部には斜め補強材を90センチピッチ(通常2700センチピッチ)で配置、天井内設備機器にもブレース補強を施した上で、各補強部分の接合金物もずれない堅固なものを使った。
公開実験では、改定指針に基づく防止対策が施された天井は落下せず、破損もほとんどなかった。一方、非対策の天井は段差部から破損し、落下に至った。
同社は、東日本大震災以前から天井の耐震性に関する社内指針を作成し、震災後の調査でも一定の効果を確認していた。今回の指針改定を踏まえ、今後は、ホールなど集客施設、学校、老人ホーム、工場などに安全性の向上、BCP対策支援などを提案していく。
(2012年6月15日 建設通信新聞)