「耐震性能グレード分かりやすく/JSCAがパンフ/安心できる建物をつくるために」が建設通信新聞に掲載されました
耐震性能グレード分かりやすく
JSCAがパンフ 安心できる建物をつくるために
日本建築構造技術者協会(JSCA、金箱温春会長)は、建物の設計に当たって構造設計者と構造設計の依頼主(建物発注者や意匠設計者)が耐震設計・性能設計について話し合うためのツールとなるパンフレット「安心できる建物をつくるために〜構造設計者と共に考えましょう」を作成した。構造設計者の役割を社会に紹介する目的も兼ねている。JSCAが社会に向けての構造設計パンフレットを作成するのは初めて。
金箱会長は、「新築でも地震による被害は起こり得る。その被害を減らすためには設計の段階から構造のことをきちんと考えなければならない。構造設計の依頼主にそのことに関心を持ってもらい、きちんと話し合うためのきっかけになるものとして期待している。JSCA会員は、このパンフレットを持ち歩いて活用することになる」としている。
内容は、△耐震設計の考え方△構造設計者の役割△建物の構造とは△耐震性能グレードについて△契約・保険・業務報酬ーの4項目で構成。図版・写真も多用しながら構造の専門知識を持たない依頼主が理解できる平易な表現で簡潔に説明している。このため、あえて「中地震は“震度5弱程度"で、大地震は“震度6強程度"」と明記した部分もある。
耐震性能グレードでは、大地震で構造体が大破ー中破する「基準級」、同中破ー小破する「上級」、同軽微・無被害の「特級」の3段階ががあることを説明。特級では、構造体のほか。非構造部材、仕上げ材・非構造部材、設備機器なども「ほとんど被害は生じない」とするとともに、実現できる構造形式として制震構造と免震構造を示した。
非構造部材の被害や家具の店頭対策にも触れ、構造設計者だけでなく意匠・設備設計者も交えて建物構造形式や耐震対策の方法を検討するようアドバイスしている。このほか、耐震性能グレードをランニングコストとライフサイクルコストの視点から説明。
また、構造性能には、居住性能(騒音・振動)、耐風性能、耐久性能、修復性能などもあることを示し、「詳細な設計・計算に入る前に、どのような設計にするか意匠・構造の設計者と話し合って下さい」と対話しながらの決定を求めた。
一方、既に耐震診断・補強に関するパンフレットはいろいろなところから出ていることなどから、今回は既存建物の耐震診断・補強などについて触れなかった。
(2012年4月13日 建設通信新聞)