「耐震化促進方策/費用負担軽減へ支援充実/国交省/診断/改修企業育成も」が建設通信新聞に掲載されました
耐震化促進方策⁄費用負担軽減へ支援充実/国交省/診断⁄改修企業育成も
国土交通省は、住宅・建築物耐震化の促進策の基本的方向性案をまとめた。耐震化に必要な費用負担を軽減する支援策を充実するとともに、適切な工法、費用、効果を判断できる情報提供や相談体制を整える。また、耐震診断や改修を実施する企業の育成や、改修の新工法の開発・活用にも努めることなどを示している。
18日に開いた社会資本整備審議会建築分科会の第2回建築基準制度部会(部会長・久保哲夫東大名誉教授)に提示した。
国交省が国や地方公共団体によるアンケート調査を分析した結果、耐震化を阻害する要因として費用負担が大きいことや、耐震診断を実施していないにもかかわらず耐震性があると認識している割合が高い。建物に合った改修工法を選定できないとする意見や信頼できる企業の選定、テナントへの対応なども課題に挙がっている。
費用負担の軽減は、耐震改修促進税制や住宅金融支援機構による融資を始め、耐震診断・改修の助成制度が整備されている。ただ、補助制度を創設している市区町村の割合は診断が住宅で79%、建築物で35%、改修が住宅で73%、建築物で11%にとどまっている。
耐震診断などを実施する企業の選定基準についても、耐震改修促進法では耐震診断・耐震改修設計の資格者を定める規定はなく、日本建築防災協会(耐震改修支援センター)などの建築関係団体が独自に技術者向けの講習会や設計事務所の情報を提供しているのが実情だ。
また、同法では耐震改修によって安全性が確保される場合は既存不適格建築物の使用できる特例措置があり、増築を伴う場合も対象に含まれるものの、バルコニー床の増築を伴う新たな改修工法などは特例措置が受けられないといった課題もある。
こうした現状を踏まえ、支援策の強化や企業の育成、新工法の開発などを新たな耐震化促進策の基本的方向性として示した。
(2012年12月19日:建設通信新聞)