斜め部材+一定の隙間
(クリアランス)
構造耐力上安全な天井の構造方法として、「天井面構成部材等の単位面積質量、吊り材の配置方法、斜め部材(ブレース)の配置など」
以下①~⑪の仕様に適合するものを規定しています。
1 天井面構成部材等の単位面積質量
天井面構成部材等の単位面積質量は、
20キログラム以下とする「天井面構成部材等」には、天井面を構成する天井板、天井下地材及びこれに附属する金物のほか、自重を天井材に負担させる照明設備等が含まれます。(天井告示第1第四号で定義)
2 天井材の緊結
天井材は、ボルト接合、ねじ接合その他
これらに類する接合方法により相互に
緊結すること緊結状態を確保できる性能とその確認方法では以下の点に留意する必要があります。
- 1) クリップ及び斜め部材上端・下端接合部について、メーカーのカタログ等により、以下に示す試験・評価方法に基づく許容耐力(水平方向)を確認し、
地震力に対し各接合部が許容耐力を超えない事を確かめる必要があります。
※以下で掲載しているページは、カタログの該当ページにて詳細をご確認ください
耐震天井カタログ- 2) 天井板の仕上材と下地材をメーカーが十分な強度等を有するものとして指定する接着剤を用いて施工手順どおりに貼り付けたもの
- 3) 天井板と野縁が適切な間隔(一般的には15~20cm)でねじ留めされたもの
- 4) 野縁相互にジョイントを差し込んだ上で天井板と野縁を適切な間隔でねじ留めされたもの
- 5) 野縁受け相互にジョイントを差し込んだ上でねじ留めされたもの
- 6) 設備等の開口部を設けるために、やむを得ず野縁や野縁受けを切断する場合には、適切な補強措置を講じなければならない
- 7) 溶接で十分な耐力を確保することは難しいため、現場溶接による接合は行ってはならない
- 8) 斜め部材の吊り材への取り付けは、偏心距離が小さい(吊り元接合部に斜め部材からの応力で曲げモーメントが発生しない)取付金具を用いること
- 1) クリップ及び斜め部材上端・下端接合部について、メーカーのカタログ等により、以下に示す試験・評価方法に基づく許容耐力(水平方向)を確認し、
3 支持構造部の仕様
支持構造部は十分な剛性及び強度を有するものとし、建築物の構造耐力上主要な部分に緊結すること
支持構造部が十分な剛性及び強度を有しているか否かについては、吊り材の上端に生ずる力を考慮して構造耐力上主要な部分と同様に、長期荷重及び短期荷重に対する
安全性を構造計算によって確かめることになります。4 吊り材の規格
吊り材にはJIS A6517-2010に定めるつりボルトの規定に適合するもの又はこれと同等以上の引張強度を有する
ものを用いること当該JIS規格では、つりボルトが適合すべき品質として、JIS G3505(軟鋼線材)2004に定めるSWRM8、SWRM10又はSWRM12が引用されています。
5 吊り材及び斜め部材の取付け方法
吊り材及び斜め部材は、埋込みインサートを用いた接合、ボルト接合その他これらに類する接合方法により
構造上主要な部分等に緊結すること緊結状態を確保できる性能とその確認方法
吊り材と構造耐力上主要な部分等の接合部について、「②天井材の緊結」に記載した考え方と同様に、メーカーのカタログ等により掲載されている試験・評価方法に基づく許容耐力(引張及びせん断)を確認し、下記に留意した上で、所要の性能を有する製品を使用する必要があります。
吊り材(吊りボルト)に斜め部材が取り付く場合には、吊り元(インサート)の接合部の許容引張耐力Pは、天井面構成部材等の重量による鉛直方向の引張力と斜め部材に加わる地震力の鉛直成分を考慮して、(5.1)式により算定したFνの値以上とし、また、吊り元(インサート)の接合部の許容せん断力Qは、斜め部材に加わる地震力の水平成分を考慮して、(5.2)式によりFhの値以上とし、かつ、引張力とせん断力が同時に作用することを考慮して、(5.3)式を満たすことを基本としています。ただし、吊りボルトの吊り元(インサート)と斜め部材に偏心がある場合には、吊り元に作用する曲げ応力も考慮して評価することが必要となります。※以下で掲載しているページは、カタログの該当ページにて詳細をご確認ください
耐震天井カタログあと施工アンカーを使用する場合の取り扱い
設備機器やダクトとの取り合いなどで、あらかじめ施工した埋込みインサートを使用できない場合もあり、施工上の理由によりやむを得ない場合には、あと施工アンカーを使用することも認められる。
当面は、あと施工アンカーのうち金属系アンカーに限って使用するものとし、接着系アンカーについては、長期にわたって荷重を支持する部分に設ける場合の耐久性やクリープ特性等に関する技術的知見が不足していることから、今後の研究成果により充分な知見が得られるまでは特定天井の吊り元(インサート)には使用しないことにする。
また、万が一耐力の低下があった場合においても、それが連鎖して直接天井材の落下につながらないように、吊り材(吊りボルト)全体の3割以下の範囲内で一箇所に集中しないように使用することを原則とし、やむを得ずこれに依りがたい場合には、目視、接触、打音による検査のほか、使用したアンカーの1割以上について非破壊検査(引張試験)を行い施工管理の徹底を図るものとされています。
なお、デッキプレートの谷部に埋込みインサートやあと施工アンカーを設ける場合には、メーカーのカタログ等を参考にしながら、製品の許容耐力について相応の耐力低減を考慮しなければなりません。鉄骨造における吊り材又は斜め部材の緊結方法
吊り材又は斜め部材は、十分な剛性及び強度を有する構造耐力上主要な部分又は支持構造部にボルト等で接合することを基本とされています。
地震による繰返しの震動により滑りや外れが生じるおそれがあるため、一般的なクランプを使用して吊り材をH形鋼のフランジ部分に取り付けることは避けるべきであり、やむを得ず使用する場合には、外れを防止するための金具を組み合わせ、かつ、十分な強度を有するものを使用しなければなりません。6 吊り材の配置方法
吊り材は、天井面構成部材を鉛直方向に支持し、かつ、天井面の面積が1㎡当たりの平均本数を1本以上とし、
釣合い良く配置しなければならない勾配屋根においても、接合部材等を工夫して、あくまで鉛直方向に吊り材を配置を設置しなければなりません。
7 天井面の段差等
天井面構成部材に天井面の段差その他の地震時に有害な応力集中が生ずるおそれがある部分を設けないこと
外見上は天井面に段差がある場合でも、例えば、クリアランスを設けて完全に縁が切れていれば、地震時に有害な応力集中が生ずるおそれがないので、本規定でいう「段差」には該当しないものと考えてよいとされています。この場合においては、地震動による天井面の動きが、鉛直方向については水平方向ほど大きくないと考えられるため、鉛直方向に1㎝以上のクリアランスを確保すればよいとされています。
8 吊り長さ
吊り長さは、3メートル以下とし、おおむね均一とすること
「吊り長さ」は「ふところ」とは違い、吊り元から天井面まで「おおむね均一」の誤差は5/100(水勾配)程度とします。勾配屋根に対しては、屋根に平行な天井とすることが原則となるが水平な天井を設置する場合には、別途、支持構造部を水平が確保できるような形で設けた上で、吊り材を取り付ける必要があります。(ただし、計算ルートでは、吊り長さが均一でない場合も認められます)
9 斜め部材の配置
斜め部材は下端を近接してV字状に配置したものを一組とし、算定した必要組数を釣合い良く配置すること
斜め部材を算定
斜め部材は、2本の斜め部材の下端を近接してV字状にした形状に配置したものを一組とし、下記表に掲げる式により算定した組数以上を張り間方向及びけた行方向に釣合い良く配置しなければなりません。
斜め部材を釣合い良く配置
「技術基準の解説」では、一体として挙動する天井面をおおむね50㎡以下の均等かつ整形な範囲に分割(ゾーニング)し、その範囲におおむね同じ組数のV字状の斜め部材が配置されているような状態を一つの目安として示しています。
※ゾーニングにつきましては技術基準の解説(平成26年10月改訂版)設計例から抜粋し手順の一つとして例示しており、当社では配置計画は行っていません。
「2段ブレース」の扱い
いわゆる「2段ブレース」については、吊ボルトに圧縮力等の複雑な応力が作用する為、原則として採用すべきではないとあります。ただし、吊ボルトや水平補剛材を含めた構造耐力上の安全性を詳細に検証した場合に限り、採用することが可能とされています。
10 天井面構成部材と壁等とのクリア
ランス天井面構成部材と壁、柱その他の建築物の部分又は建築物に取り付けるものとの間に、6㎝以上の隙間を設ける
こと天井面構成部材と壁等との間には、6㎝以上のクリアランスを設けなければならないとされています。
11 屋外に面する天井の仕様
耐風圧に配慮したクリップ等を採用することが必要
屋外に設ける天井については、地震その他の震動及び衝撃のほか、風圧により脱落することがないように、天井材の接合部材として、耐風圧性に配慮したクリップ等を採用することが必要であるとされています。
出典:『建築物における天井脱落対策に係る技術基準の解説』より